★このページでは、インフルエンザ予防接種に関して、質問の多い事項についてQ&A方式でまとめてみました。
インフルエンザ予防接種は新型コロナウイルスにも効果はありますか?
インフルエンザワクチンは新型コロナウイルスに効果はありません。
ただし、2021年の秋~冬にかけては、世界的に、新型コロナウイルス感染症の影響が強く残っていることが予想されます。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなど呼吸器系の病気に対するワクチン接種は、世界保健機関(WHO)などの主要な保健機関から、健康を守るために強く推奨されています。
インフルエンザ予防接種の効果とは?
インフルエンザウイルスに感染し、ウイルスが体内で増殖すると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現します。この状態を「発病」といいます。インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。発病後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。特に基礎疾患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。 国内の研究で、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった、という報告もあります。
現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果が期待できます。
昨年インフルエンザワクチンの接種を受けましたが今年も受けた方がよいでしょうか?
インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行することが予測されるとウイルス株を用いて製造されています。このため、昨年ワクチンの接種を受けた方であっても、今年のインフルエンザワクチンの接種を検討して頂く方が良い、と考えられます。
予防接種はいつから受けられますか
接種開始時期は医療機関によりますが、10月から開始する医療機関が多いです。
当院では毎年10月1日から接種を開始しています。期間は例年4か月程度となります。→→当院のインフルエンザ予防接種の情報ページはコチラです。
インフルエンザワクチンの接種はいつ頃まで受けるのがよいですか?
日本では、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、例年1月末~3月上旬に流行のピークを迎えますので、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。
インフルエンザワクチンはどのような人にお勧めなの?
次のような方にお勧めです。
- デイサービス、ショートステイなどの利用者
- 肺や心臓に病気のある方
- 糖尿病などで抵抗力の低下している方
- お年寄りや小さなお子さんと同居している方
- 受験生や受験生と同居している方
など
予防接種を受けることができない人は?
予防接種を受けられない人は次の通りです。
●接種当日、明らかな発熱を呈している人。
明らかな発熱とは、通常37.5℃以上を指します。
●重篤な急性疾患にかかっている人
急性の病気の経過がわからなくなる可能性があるので、その日は見合わせるのが原則です。
●予防接種の接種液の成分によって、アナフィラキシーショックを呈したことが明らかな人
「アナフィラキシー」とは、通常予防接種後約30分以内に起こるひどいアレルギー反応のことです。発汗、顔が急にはれる、全身にひどい蕁麻疹がでる、吐き気、嘔吐、声が出にくい、息が苦しい等の症状に続き、血圧が下がっていく激しい全身反応です。
●インフルエンザの予防接種で、接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う病状を呈したことがある人
●過去1ヶ月以内に 麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘、ポリオなどにかかったか、予防接種を受けた人
●その他、医師が不適当な状態と判断した場合
予防接種を受ける際、担当医とよく相談しなくてはならない人は?
- 心臓病、腎臓病、肝臓や血液、その他 慢性の重篤な病気で治療を受けている人、免疫不全状態にある人。特に、重篤な心不全、呼吸不全、副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤を服用中の方、悪性腫瘍で抗がん剤や放射線治療中の人
- 過去にけいれんの既往のある人
- 過去に免疫不全または免疫異常を指摘されたことがある人
- 間質性肺炎、気管支喘息など呼吸器疾患を有する人
- 接種しようとする接種液の成分に対してアレルギーを呈するおそれがある人。
(とくに鶏卵、鶏肉、ゼラチン、チメロサール、抗生物質などワクチン関連成分)
妊娠中および授乳中の女性への予防接種は、どのようにすればよいでしょうか?
日本で使用されるインフルエンザワクチンは、病原性をなくした不活化ワクチンで、 胎児に悪影響を及ぼしたという報告はありません。一般的に妊娠中のすべての時期において安全であり、妊婦がインフルエンザに感染すると重症化することがあるため、ワクチン接種が勧められています。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、インフルエンザシーズン中の妊婦へのインフルエンザワクチン接種を妊娠週数に関わらず推奨しています。
また、 授乳中にインフルエンザワクチンを接種しても支障はありません。不活化ワクチンですので、母乳を介して乳児に悪影響を与えることはありません。ただし、お母さんがインフルエンザワクチン接種を受けたからといって、お母さん自身にインフルエンザの予防効果を期待することはできても、母乳を介してお子さんにインフルエンザの予防効果を期待することはできません。
ワクチンは1回接種でよいでしょうか?
13歳以上の方は、1回接種が原則です。ワクチンの添付文書には「13歳以上のものは1回または2回注射」と記載されていますが、健康な成人の方や基礎疾患(慢性疾患)のある方を対象に行われた研究から、インフルエンザワクチン0.5mLの1回接種で、2回接種と同等の抗体価の上昇が得られるとの報告があります。ただし、医学的な理由により、医師が2回接種を必要と判断した場合は、その限りではありません。
インフルエンザワクチンの接種によって引き起こされる症状(副反応)には、どのようなものがありますか?副作用はありますか?
注射部位が、赤くなったり、はれたり、痛んだりすることがありますが、通常2~3日のうちに治ります。また、軽度の発熱やだるさ、寒気などがある場合もありますが、通常2~3日で治ります。また、非常にまれですが、ショックや蕁麻疹、呼吸困難などのアナフィラキシー症状が現れることがあります。
当院は東京都江東区にある消化器内科です。症状や検査で困ったことがあれば、当院の医師へ相談してください。近隣の墨田区、江戸川区にお住まいの方はもちろん、県外の患者さんも多数来院されます。