萎縮性胃炎とは
萎縮性胃炎は、胃粘膜に慢性的な炎症が発生し、胃液や胃酸を分泌する組織が減少し、胃粘膜が萎縮した状態で、組織学的な表現では、胃の固有腺が減少・消失した状態です。
胃カメラ検査で観察すると、胃粘膜が薄くなっており、血管が透けて見えます。
胃の萎縮が進むと、胃粘膜が腸粘膜の状態に変性する腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)が発生し、胃がんに繋がる恐れがあります。
萎縮性胃炎の原因
萎縮性胃炎の原因は、ピロリ菌による慢性胃炎(B型胃炎)と、自己免疫反応による慢性胃炎(B型胃炎)の2つに大別されます。
慢性胃炎はピロリ菌感染などが原因となり、炎症が長期間に及ぶと、胃粘膜が萎縮して萎縮性胃炎に至ります。
萎縮性胃炎が悪化すると、小腸・大腸の粘膜と同じような状態に変性する腸上皮化生が発生する可能性があります。腸上皮化生は前がん病変として考えられており、胃がんに繋がる恐れがあります。つまり、萎縮性胃炎は胃がんの発生母地となるため、早期発見・早期治療が欠かせません。
萎縮性胃炎の症状
約5割の方は何も症状が起きませんが、胃液の分泌量が減るため、消化に支障をきたし、胃もたれや食欲不振などの症状を示すことがあります。
また、上腹部の不快感や痛み、胃痛、胃のむかつき、胸焼け、胸部の張り、吐き気・嘔吐なども起こります。
萎縮性胃炎の検査方法
胃カメラ検査を行い、胃粘膜の状態を直接観察します。萎縮の程度によって発がん率が異なるため、胃カメラ検査はがん化リスクの判断にも有用です。バリウム検査の場合、萎縮の程度は判断できません。がん化リスクがあるため、早いうちに検査し、適切な治療を受けましょう。
萎縮性胃炎の治療法
ピロリ菌の除菌治療
除菌治療では、除菌剤や炎症を抑えるお薬などを使用します。服用は1日2回、1週間続けて頂きます。内視鏡を用いたピロリ菌検査を行い、慢性胃炎と診断された場合、除菌治療が2回まで保険が適用されます。
薬物療法
患者さんの症状をお伺いした上で、胃酸分泌抑制剤や胃粘膜保護薬など適切なお薬を使用します。
市販薬で改善することもありますが、胃がんなどでも同様の症状が起こるため、病院で検査を受けて原因を特定し、適切な治療を受けましょう。
除菌に成功した患者さん、あるいはピロリ菌が自然消失した方も、ピロリ菌にかかったことがない方に比べると胃がんのリスクが高いので、毎年1回は胃カメラ検査を受けましょう。