はじめに
◆バリウム検査でひっかかってしまった!!
◆健診でバリウム検査を受けてその結果を見たら、「隆起性病変」「陥凹性(かんおうせい)病変」「ひだ集中」「粘膜不整」などと書いてあり、びっくりした!
◆「胃炎疑い」「胃潰瘍疑い」などと書いてあり、怖くなってしまった
◆さらに「要精密検査」となっており、どうしてよいかわからない、落ち込んでいる
という方は多いと思います。
このような方がまずすべきなのは、消化器内科医に相談することです。
「怖くなったので無視してしまった」「前にも同じことを言われたので大丈夫」などと自分勝手な理屈をつけて、消化器内科を受診しないのは、病気を早期発見する機会を逃すことになります。
ただし、バリウム検査で異常を指摘されても、慌てる必要はありません。「要精査」「要精密検査」と判定されても、実際には「治療が必要な病気」であることは少なく、経過観察するだけでよいことも多いのです。「自分の身体を知る良い機会」と考えて、食道・胃・十二指腸についてより確実、かつ豊富な情報が得られる胃カメラ検査での精密検査を受けて下さい。
バリウム検査の意味とは
バリウム検査は、飲んだバリウムを胃の中に薄く広げて、胃の形や表面の凹凸をレントゲンで観察するものです。胃のスクリーニング検査として日本全国で広く行われています。バリウムの歴史は古く、X線発見の翌年(1896年)イタリア人Duttoが死体に石膏剤を注入して撮影したのが始まりと言われています。
バリウム検査の精度はどれくらいなの?
実はこの「バリウム検査」、我々医師はまずこの検査を受けません。
このバリウム検査は精度の点で胃カメラに大きく劣り、診断能力として1000分の1以下であるとも言われているのです。
実際、バリウム検査で早期胃がんを発見するのはとても困難です。
ではなぜ、この検査が行われているかというと、厚生労働省が定めているがん検診の指針に、いまだバリウム検査=胃部エックス線検査が含まれていることが原因です。胃がん検診の検診項目は、「問診に加え、胃部エックス線検査又は胃部内視鏡検査のいずれかとする」と定められています。この文言が削除されないので、自治体や会社はバリウム検査を続けています。
「バリウム検査で引っかかった」とは、精度が劣る検査で「何か異常がある」と指摘されたということになります。この検査で「要精査」となったら必ず消化器内科を受診しましょう。
胃カメラの長所
消化器内科を受診した際、医師に胃カメラ(=内視鏡)を勧められると思います。
現在、上部消化管(食道・胃・十二指腸)の精密検査の主力は内視鏡=胃カメラです。
ここで胃カメラの長所を列記します。
- 1~2mm以下の小さな病変を見つけやすい
- リアルタイムに観察が可能、病変の切除や組織の採取が可能
- 粘膜面の色調や細かい模様を観察できる
- 検査時間は5分程度
- 検査台から落下するリスクがない
- 検査後に下剤を飲む必要がない
バリウム検査が胃カメラに勝る点として、かつては「検査の苦痛が少ない」と言われていました。しかし、細径の経鼻内視鏡が登場した現代では、それもメリットとは言えなくなってきました。バリウムより胃カメラの方が楽だった、という患者さんも多くおられます。
やるべきこと
ここまで読んで頂いた方は、「バリウムでひっかかった」場合、
- まず消化器内科を受診する
- 胃カメラを受ける
は避けられないことがお分かりになったかと思います。ここでやるべきは「胃カメラが上手な信頼できる医療機関を探す」ということになります。
具体的には次のような医療機関を探してみましょう。
- 上手な医師がいる
- 症例数の多い病院 →(さらに詳しく知りたい方はコチラへ)(Fuji filmサイト「鼻から.jp」に移動します)
- 「経鼻」「経口」など自分に合う方法を選択できる →(さらに詳しく知りたい方はコチラへ)
おわりに
繰り返しになりますが、バリウム検査で異常を指摘されても慌てる必要はありません。
「自分の身体を知る良い機会」と考えて、是非胃カメラ検査を受けてください。消化器内科を受診しないのは、病気の早期発見をする機会を逃すことになります。
当院は東京都江東区にある消化器内科です。近隣の墨田区、江戸川区にお住まいの方はもちろん、県外の患者さんも多数来院されます。「バリウム検査でひっかかった」方は、是非、当院の医師へ相談してください