はじめに
大腸カメラは、患者さんの身体にかなり負担のかかる検査ですので、施行してくれる医師を慎重に選ぶべきです。
大腸カメラ=大腸内視鏡は
- 「内視鏡専門ではない医師」
- 「消化管が専門ではない医師」
- 「肝臓など他の臓器が専門の医師」
お薦めは、「総合力の高い施設」で大腸内視鏡を受けることです。
では一体どのような施設が総合力が高いといえるのか、述べていきたいと思います。
一昔前の大腸カメラとは
大腸カメラは、平成前期あたりまでは入院をして施行する検査でした。それほどリスクのある検査だったのです。
現在は、内視鏡や周辺機器、腸管洗浄液などの進歩により、かなり安全に出来るようになりました。それでも患者さんにとっては、とても負担のかかる侵襲的な検査です。医療を提供する側も、事前に入念な準備が必要な点は変わっていません。
平成前期までの大腸内視鏡は
- 前日に入院する
- 内視鏡室ではなく、透視室でレントゲンを照射しながらやる
- 検査は2人法(医師1人では施行できなかった)
- スコープの画質が悪い
- 内視鏡の操作性が悪い
- (患者さんの)前処置がうまくいかず、大腸内に便が残っている
このころは、出血・腸管の穿孔(穴があくこと)などの偶発症が一定の割合で起こっていました。
大腸カメラの進歩
平成後期以後、技術の進歩により内視鏡スコープが細くなり、コシがある、操作性の高い大腸内視鏡が開発されました。また、腸管洗浄液が進化し、患者さんの前処置がかなりうまくいくようになりました。
徐々に
- 外来でOK
- レントゲン施設のない一般の内視鏡室でOK
- 検査は医師1人で可能に
となっていきました。
また、施行医の手技もかなり洗練されてきて、「軸保持短縮法」「水浸法」「αループ形成法」等
医療側・患者さん側双方にとって、「楽で安全な手技」の一つになっていったのです。
大腸カメラを安全に受けるには
上述のように大腸カメラは、それにまつわる環境が格段に整備され、外来で受けることが可能な検査になってきました。とはいっても、入院を伴わない検査の中ではかなり侵襲的な検査に分類されます。未だにリスクを伴う手技であることに変わりはありません。大腸内視鏡は、「医師を選ぶべき」検査であり、「医療施設を選ぶべき」検査となります。
では、どのような視点で「医師を選び」「病院を選ぶ」のがよいのでしょうか。列記してみます。
医師に対する視点:
1)医師のプロフィールは重要
大腸内視鏡は、「内視鏡専門ではない医師」「消化管が専門ではない医師」「肝臓など他の臓器が専門の医師」が片手間に習得できる手技ではありません。是非、「内視鏡科」「消化器内科の消化管班」「消化器外科の消化管班」に所属しているか、またはそこの出身であるか、チェックしてみてください。 資格も、最低でも「日本消化器内視鏡学会」か「日本消化器病学会」の専門医が必要です。「指導医」があればなお良いでしょう。
2)過去の検査数はやはり重要
一般的に、300~500件の検査をすると、大腸内視鏡に関する手技が習得できて、1,000件以上の検査をすると、技術的なラーニングカーブが一定の水準に達します。クリニックの外来で、万が一のトラブルシューティングまで必要な状況を考えると、10,000件以上の検査経験があることが望ましいといえます。
医療施設に対する視点:
3)年間の検査数
施設全体の習熟度が重要になってきます。年間の大腸カメラ件数が1,000件以上あると安心です。
4)検査医師1人ですべてを切り盛りしている小規模クリニックは避けた方が無難
医療には様々なトラブルが発生します。外来や電話対応など、一人の医師がすべてを兼務している環境では事故が起こりやすくなります。どんなに熟達した医師でも、集中力を欠いた状態では達人ではなくなります。
5)内視鏡室専任の看護師
看護師さんについても同様のことがいえます。大腸カメラを施行中に内視鏡の介助に専任できず、採血や電話対応などを兼務している看護師さんを見かけますが、あまりよい兆候ではありません。
6)鎮静剤の有無について、患者さんが選べる施設
令和の時代には当たり前になりつつありますが、鎮静剤の使用の有無は、やはり患者さん側がチョイスできると良いです。
7)高次医療機関との連携
クリニックで対応できないような大きなポリープがあった場合や治療には入院が必要と判断された場合、大きな病院に紹介してもらえるなら安心でしょう。
まとめ~総合力の高い施設とは~
大腸カメラ検査は、外来など他の医療の片手間に行える手技ではありません。
上述したように、
- 熟練した医師に
- 熟練した施設で
やってもらいましょう。
前述したことを念頭に置いて情報収集すれば、皆さんもきっと「総合力の高い施設」を見つけられるはずです。
おわりに
大腸カメラを受ける際に、医師選び・施設選びの参考となる指標について述べました。
現在は、SNSなどの発展に伴い、医療についての情報も比較的簡単に手に入る時代です。むしろ、情報が多すぎて混乱することも多いかと思います。SNS上の口コミや評判を正しく取捨選択し、なるべくラクで負担の少ない有益な内視鏡を受けてください。
当院の大腸カメラの特徴は下記になります