十二指腸潰瘍とは
十二指腸は胃と小腸の間に位置する消化管です。十二指腸潰瘍とは、十二指腸粘膜が強酸性の胃酸によって損傷し、炎症が発生した状態です。何らかの原因により胃液が十二指腸の組織を消化することで発生します。胃粘膜が消化された状態は胃潰瘍と呼ばれ、いずれも消化性潰瘍と呼ばれることもあります。
十二指腸潰瘍の原因
十二指腸潰瘍は、若年のピロリ菌感染者で、萎縮性胃炎には至っていないものの胃の内部が過酸状態になっている場合、発症リスクが高いと言われています。
胃粘膜にピロリ菌が感染すると、胃酸が過剰に分泌されますが、過剰な胃酸が十二指腸に流れることで発症します。
本来、十二指腸は強酸性の胃酸から壁を保護する機能がありますが、この機能が低下し、バランスが崩れることで十二指腸潰瘍に至ります。
胃潰瘍に比べ、十二指腸潰瘍の方がピロリ菌の影響が大きいと言われています。
十二指腸潰瘍の症状
十二指腸潰瘍では、みぞおち付近の痛みや腹痛、背部痛などが主な症状です。痛みは空腹時や夜間などに現れ、食事によって軽快する傾向があります。
他にも、胸焼けや胃もたれ、食欲不振、吐き気・嘔吐などの症状を示すことがありますが、無症状のこともあります。
胃潰瘍と同じく、潰瘍が悪化すると、出血や穿孔、狭窄など深刻な合併症を招く恐れがあります。
十二指腸潰瘍による下血は、全体的に黒っぽいタール便となります。
症状が出ないこともあるので、無症状の場合も安心はできません。
十二指腸潰瘍の検査方法
バリウムを用いたレントゲン検査と胃カメラ検査が主な検査方法になります。
特に、胃カメラ検査では、胃粘膜を直観観察でき、怪しい病変が見つかれば組織を採取して病理検査に回すこともできます。
当院では、訓練を受けた専門医が最新の内視鏡機器で精度の高い胃カメラ検査を行っています。検査ごとに、必ず複数医師によるダブルチェックを行い、病変を見逃しなく診断することができます。また、鎮静剤を使用してウトウトと寝ている状態で苦痛を感じることなく検査が受けられます。
十二指腸潰瘍の治療法
十二指腸潰瘍の治療は主に薬物療法が行われます。胃酸抑制剤を使用することで、2ヶ月ほどで完治が期待できます。また、胃粘膜保護薬や胃粘膜修復薬、血流改善薬など、防御因子を改善するお薬も使用します。
十二指腸により出血が起きている場合、内視鏡を用いた止血処理が優先されます。また、穿孔が認められた場合、手術が検討されます。
昨今は、ピロリ菌の除菌治療が一般化しています。ピロリ菌を除菌することで、潰瘍の予防・再発を防ぐことが可能です。