頸動脈超音波検査(けいどうみゃく ちょうおんぱけんさ)は、頸動脈エコーとも言われ、スクリーニングとして広く普及している検査です。
超音波検査の装置を使い、動脈硬化の程度を測定します。患者さんはベッドにあお向けの状態でいるだけなので身体に負担がかかりません。
頚動脈(けいどうみゃく)超音波検査とは
別名、頚動脈エコー検査ともいいます。また、「頚」という漢字は「頸」とも書きます。
頸動脈エコー検査は、頸動脈(心臓から頭へ血液を送る大血管)に超音波をあてて、反射した波から動脈硬化の進行の程度を調べる検査です。
エコー用のゼリーを首に塗り、プローブと呼ばれるスマートフォンほどの大きさの医療機器を当てながら動かしていきます。プローブを通してモニターに頸動脈が映し出されるので、リアルタイムに画像を確認しながら動脈硬化の程度を測定します。
患者さんはベッドにあお向けの状態でいるだけなので身体に負担がかかりません(図1)。
※2023年6月19日より、エコー検査の再検を希望される方は、同種の検査であれば、電話予約が可能となりました。ご活用ください。
どんなときにこの検査をするの?
通常、健診などの採血で高コレステロール血症や高脂血症があった場合に、「現在の動脈硬化の程度を測定する」ために行われます。「首の動脈」を精査することで、「全身の血管の詰まり具合・狭窄の具合を推測する」ことを目的に行います。
現時点での血管の状態を知ることができ、
- 将来、「脳梗塞」や「心筋梗塞」になる可能性が高いのか、低いのか
- 可能性が高いのであれば、治療はどうするのか
- 治療を開始するタイミングは?
などの有力な判断材料の一つとなります。最適な医療介入のタイミングやその強度を推測するのに役立ちます。具体的には、「スタチン」と呼ばれる内服薬を開始する時期を判断する重要な情報の一つになります。
何科でやってるの?と思われる方もいるとおもいます。糖尿病や脂質異常症を扱う内科はもちろんのこと、循環器内科・脳血管外科・脳神経内科・心臓血管外科・血管外科など様々な診療科で行われます。
動脈硬化とは
動脈硬化とは、部分的に動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして、動脈壁の弾性が低下した状態のことです。
動脈の壁は、内膜・中膜・外膜の3層からなり、動脈硬化で最も重要な「粥状硬化(じゅくじょうこうか)」では、動脈壁の内側に線維性肥厚、脂質沈着、線維性硬化巣、アテローム、さらに石灰沈着、潰瘍、血栓などの複合病変が認められるようになります。これが進行すると、動脈硬化性の疾患が発症することになります。代表的には、脳梗塞や心筋梗塞がこれにあたります。
検査の流れ
被検者のIMTや血管径、血管の走行、蛇行の有無、プラークの有無、狭窄率、血流測定を計測していきます。IMTとは「intima-media thickness」の略で、頸動脈の「内中膜複合体の厚さ」を意味し、下図のように測定していきます。
プラーク病変
プラークとは、「血管内腔に限局的に突出した病変」の総称です。早期動脈硬化研究会では、「maxIMTが1.0mmを超え、IMC表面に変曲点を有する限局性の隆起病変」と定めています。写真のような病変がある場合に「プラークがある」と診断されます。
IMTの肥厚病変
なだらかな隆起も、重要な所見です。1mm以下が正常で、1.1mmを超えると「有所見」と診断されます。
血流速度
カラードプラ法で血流速度を測定します。
総合評価
上記のように、IMTや血管径、血管の走行、蛇行の有無、プラークの有無、狭窄率、血流測定などを計測して、総合的に判断します。スタチンと呼ばれる内服薬を開始するタイミングや、エゼチミブを追加するか否か、などが検討されます。
場合により、循環器内科や脳神経外科などに紹介させて頂きます。
おわりに
超音波検査、エコー検査は気軽に受けることができ、費用の点でも比較的安価です。情報量が多く、おすすめの検査です。
「高コレステロール血症」「高LDL血症」や「高脂血症」と診断されたら、この検査を受けて、現時点での自分の血管の状態を知っておきましょう。
当院は東京都江東区にある消化器内科です。近隣の江戸川区、墨田区にお住まいの方はもちろん、県外の患者さんも多数来院されます。高コレステロール血症や高脂血症と診断された方は、是非、当院医師にご相談ください。