このページは「当院の特徴④」になります。
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はじめに
2013年の開院以来、当院でもっともおすすめしているのは、「上手な医師が」「鼻から」「短時間(5分)」で行う胃カメラです。
勿論、医学・科学・テクノロジーはどんどん進化しますので、この項では「これからの消化器内視鏡の課題」について少し触れてみます。
電子スコープはもっともっと細くなる?
丹羽寛文先生と田尻久雄先生によると、現在までの消化器内視鏡は
- 硬性胃鏡
- 軟性胃鏡
- 胃カメラ
- ファイバースコープ
- 電子スコープ(現在臨床で使用されているのはコレです)
の順に発展してきた、とされます。その時代、その時代で様々な試行錯誤が繰り返され、現在の「電子スコープ」を「鼻から」挿入するスタイルになってきたわけです。現時点ではこのやり方が、「医師にとっても」、「患者さんにとっても」最善の方法であることは間違いのないところでしょう。
2023年現在、一番細いタイプの経鼻・鼻から用の内視鏡汎用機の直径は5.4~5.8㎜です。
消化器内視鏡には通常5個の孔(ライトガイド×2、対物レンズ、鉗子口、送水口)が必要なため、強度の点・耐久性の問題・コシがない などの問題でこれ以上細いものは実用化汎用化されていません。
当院で使用しているのは直径5.8㎜のタイプです。
経鼻内視鏡は通常、鼻腔内に軽い表面麻酔を噴霧してから行います。鼻腔が細く小さい女性などは、噴霧する麻酔の量を増やしたり、医療用ゼリーを増量しても、どうしても鼻から入りません。無理やりに入れようとすると、強い痛みを与えてしまったり出血してしまったりします。
ただ、こればかりは事前には分からないため、検査当日、左右の両鼻孔からスコープ挿入をTRYしてみて初めて「鼻から入らない」ことが分かります。その場合、「そのまま、鎮静剤を注射せず口から挿入する」か「後日、鎮静剤を注射して挿入する(予約制)」かをに患者さんに決めてもらいます。
このような患者さんは一定の割合でいるので(当院の場合5~10パーセント)、これが医療者側、患者側の双方にとって結構なストレスとなります。臨床の現場では、あと1㎜程度細くなれば問題は解決すると思っています。
カプセル内視鏡の実力
カプセル内視鏡とは、まさに飴玉のように「飲みこむだけで」、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸を観察できる優れものです。2000年にイスラエルの会社により試作品が開発されました。
口から飲み込んで、胃腸の蠕動(ぜんどう)により胃から、小腸・大腸・直腸と移動し、便とともに排泄されます。その過程を動画で観察できるため、胃カメラの代わりになるのでは、と期待されました。ただ、
- 基本的にカプセルの移動は、被検者の胃腸の蠕動に委ねられ、カプセル自体に自走能力がない(もしくは乏しい)ために、観察したい部位の観察できない。病変を詳しく見ることができない
- 検体を採取することができないため、組織診断ができない
- 万が一排泄されないと大変なことになる
- 基本的に使いまわしができないのでコストが高い
などの欠点も多く、未だ、電子スコープにとって代わるところまでは行っていません。
内視鏡AIの能力は?
現在、日本をはじめ、米国・中国・EU圏など全世界で開発競争が行われているのが、この「内視鏡AI」です。これらの開発が進めば、消化管癌の早期発見や治療能力が飛躍的に向上し、その他の分野にも応用できることは間違いありません。各社から試作機が出始めていますので、数年後には実臨床でもその活躍が期待できるでしょう。
ただし、現段階でのAI開発各社の基本コンセプトは「AIソフトウェアは過去に学習したデータを活用し、内視鏡の臨床現場において画像解析による診断「支援」を行う。最終的な診断を下すのはあくまで医師ではある」としています。
今まで通り、スコープの操作や診断・治療は医師が行い、AIはあくまでその補助という位置づけになります。
特に内視鏡の挿入や操作技術を学ぶ際には、「触覚」「圧覚」「温痛覚」など文字通り五感を駆使した、人としての総合的な感覚や運動能力が重要になってくるので、AIが医師にとって代わるのはもう少し先の話になりそうです。
おわりに~当院での取り組み~
上述したように、
- 患者さんにとって最高の胃カメラ
- 医療者にとって最高の胃カメラ
は時代により変化します。
当院では、日々の診療に全力で取り組みながらも、日進月歩で進化する医療・テクノロジーに遅れることなく常にアンテナを張り巡らせております。古いものを取り入れる勇気もあります。
すぐに「最先端」「最新の」という言葉に飛びつくのではなく、「過去」に囚われすぎることもなく、その時々で「患者さんにとって、何が最高で最善なのか」を感じながら今後も診療に邁進して参りたいと思っております。
当院は東京都江東区にある消化器内科です。半蔵門線「住吉駅」徒歩2分の医療モール内にあります。
最近ではSNS上の口コミや評判を聞いて、半蔵門線沿いの清澄白河・錦糸町・押上にお住まいの方も多数来院されます。消化器内科をお探しの方は、是非、当院の医師へ相談してください。